婚約指輪や結婚指輪に使われるダイヤモンドは、いったいどこからやってくるのでしょうか。
これから婚約指輪やダイヤモンドの購入を考えている時、ふと頭をよぎったことがあるのではないでしょうか。
現在世界中の多くの国でダイヤモンドの採掘が行われていますが、その実態はよく知られていません。
ダイヤモンドがどんな国で生産されているのか?
またそうした国では、どのようにしてダイヤモンドの採掘が行われているのか?
このプログは、宝石の権威、米国宝石学協会・GIAの宝石鑑定士であり、25年以上に渡ってダイヤモンドのバイヤーを続けてきた、ヨーアンドマーレのダイヤ担当者が、ダイヤモンドが採れる産地国の現状をリアルに伝えています。
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GIA・米国宝石学協会 宝石鑑定ディプロマ
それを知ることで、このダイヤモンドというとても高価で特殊な宝石に対する見方や、考え方も違ったものになる事でしょう。
是非ダイヤモンドの購入に当たっての参考にしてみて下さい。
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〈 目次 〉
1. 地中から採掘されるラフダイヤモンド
2. ダイヤモンドはどこで採掘されているのか?
3. ダイヤモンドが採掘されている国トップ7
3-1. ダイヤ生産世界一・ロシア
3-2. 埋蔵量豊富・ボツワナ
3-3. 人気生産国・カナダ
3-4. 高価なダイヤ生産・アンゴラ
3-5. ダイヤ採掘発祥の地・南アフリカ
3-6 ブラッドダイヤ・コンゴ
3-7. 海底鉱床・ナミビア
まとめ
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1.地中から採掘されるラフダイヤモンド
天然ダイヤモンドが地中から採掘された時、多くの場合それは八面体結晶形をしています。
その天然ダイヤモンドの結晶体を、ラフダイヤモンドといいます。
上の写真は、南アフリカのノース・ケープ州キンバリーにある鉱山の約3カラットの透明な黄色のラフダイヤモンドです。
このラフダイヤモンドは、大手ダイヤモンド企業の元で検品、品質等級などでよりわけられ、そして一般的に58面のブリリアントカ ットにカットされて各消費国へと輸出されます。
2.ダイヤモンドはどこで採掘されていますか?
1870年代以来、世界の宝石品質のダイヤモンドのほとんどはアフリカで採掘されていましたが、現在その生産は世界の多くの地域に広がっています。
上のダイヤモンド生産地図は、少なくとも 50000カラットの宝石品質のダイヤモンドの生産国を示しています。
特に近年、ロシアとカナダのダイヤモンド生産が急速に拡大しています。
世界のダイヤモンド生産グラフ
( USGS鉱物商品サマリー[1]からのデータ )
上図の7カ国が、10年以上にわたって宝石品質のダイヤモンドの生産を世界的にリードしてきました。
ロシア、ボツワナ、カナダ、アンゴラ、南アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、そしてナミビアは、一貫して年間100万カラット以上のダイヤの原型を生産しています。
3.ダイヤモンドが採掘されている国トップ7
3-1. ダイヤ生産世界一・ロシア
(ロシア最大の鉱山、ミール鉱山)
ロシアでのダイヤモンドの採掘は、18世紀にまでさかのぼります。
最初の採掘は、1957年にミール・キンバーライト鉱山とそれに隣接するプレーサー鉱山からの産出でした。
それ以来、数多くのダイヤモンド鉱山が発見されています。
現在ロシアのダイヤモンド生産の大部分は、サハ共和国、シベリア共和国のミール鉱山とオープンピット鉱山です。
今日、ロシアは宝石品質ダイヤモンドの世界一の生産国であり、10年以上にわたりその地位を築いてきました。
ロシア一のダイヤモンド鉱山会社グループアルロサ社は、採掘さたダイヤモンドを主にロシア、ベルギー、インド、イスラル 香港、中国にある多くのダイヤモンドメーカーに販売しています。
今日、ロシアは宝石品質ダイヤモンドの世界一の生産国であり、10年以上にわたりその地位を築いてきました。
ロシア一のダイヤモンド鉱山会社グループアルロサ社は、採掘さたダイヤモンドを主にロシア、ベルギー、インド、イスラル 香港、中国にある多くのダイヤモンドメーカーに販売しています。
ただウクライナとの戦争が長引く中で、各国がロシアからの直接のダイヤモンドの輸入を制限しています。
このアルロサ社及び、第二位のサハダイヤモンド社は、実質的にはロシア政府によって運営されており、その財産や土地のおよそ45%を国が所有、管理をしています。
■ 最高品質 ロシアンブルーの輝き
ダイヤモンドには、その品質を表す要素がいくつかありますが、その最高峰の品質として 『 タイプ 2』 と称されるものがあります。
ダイヤモンドの原石が地中で生成される過程で、稀に微力にホウ素を含んで成長する場合があります。
この時、宝石品質のダイヤの1%の確率でブルーを含んだ、異次元な輝きを放つダイヤモンド作られるのです。
ロシアは、この『 タイプ 2』品質のダイヤモンドの最大の産地国であり、そのダイヤを称して、ロシアンブルーといわれます。
ロシア産の有名なあのネコと同じ名前ですね。
3-2. 埋蔵量が豊富・ボツワナ
(世界一の埋蔵量・ ジャンワン鉱山 )
アフリカのボツワナでは、1950年代に探鉱が始まり、1971年にダイヤモンド採掘が開始されました。
1980年代半ばまでには、世界で最も高品質のダイヤモンドを採掘する鉱山を所有し、世界有数のダイヤモンド生産国になりました。
ボツワナの鉱山からは、高品質で大型のダイヤモンド原石が多く採掘されており、10年以上にわたり、カラット重量において、第2位の生産量をキープしています。
また、採掘されるダイヤモンドの平均サイズがロシア産のものよりも大きく高品質です。
「世界で最も豊かなダイヤモンド鉱山」と呼ばれるジャンワン鉱山では、年間約1,000万カラットの高品質ダイヤ原石を採掘、生産しています。
ダイヤモンド生産はボツワナにとって最も重要な産業であり、ボツワナの総輸出額の60%、そして国内総生産の約25%を占めています。
3-3.人気生産国・カナダ
( カナダのダイアヴィク鉱山 )
1991年に、2人の地質学者によってダイヤモンドのキンバーライト鉱床が発見されたところから、その埋蔵内容が充分商業ベースに足る品質であることが判明し、1998年に採掘か始まりました。
複数のダイヤモンド鉱山の生産ラインをオンラインで連動させることにより、カナダは急速に世界の主要ダイヤモンド生産国の1つになっていきました。
採掘条件が悪い鉱山や、鉱石の品質が悪い一部の鉱山は閉鎖させながらも、世界第3位のダイヤモンド生産国としてその地位を維持しています。
採掘条件が悪い鉱山や、鉱石の品質が悪い一部の鉱山は閉鎖させながらも、世界第3位のダイヤモンド生産国としてその地位を維持しています。
カナダのダイヤモンド鉱山のほとんどは、北部の遠隔地や寒冷地にあります。
そこは、一年のうちで最も寒い月に表れる氷道を、トラックで何百キロも離れた場所まで生活必需品を購入しに行かなければならないようなそんな場所です。
( カナダ北部、イエローナイフのアイスロード・氷道)
そのため鉱山には、一度に何ヵ月も従業員を収容し、支援するために必要な設備もすべて揃っていなければなりません。
これらのコストのかかる課題に直面しながらもダイヤモンド生産の成功を維持しています。
カナダ産のダイヤモンドは消費者に人気があります。
カナダ産のダイヤモンドは消費者に人気があります。
アフリカの多くの紛争地域と違い、労働者の給料が高く、環境を守るための監督下のもと、高い安全性を確保した中で生産されているからです。
カナダ認定のダイヤモンド
カナダのジュエリーメーカーは、カナダ産のダイヤモンドに対して証明書を発行しています。
証明書には原産地の鉱山、研磨された重量、ダイヤモンドのシリアル番号が記されており、これによって鉱山から小売までのカナダ認証ダイヤモンドのサプライチェーンを保証しています。
証明書には原産地の鉱山、研磨された重量、ダイヤモンドのシリアル番号が記されており、これによって鉱山から小売までのカナダ認証ダイヤモンドのサプライチェーンを保証しています。
3-4. 高価なダイヤ生産・アンゴラ
(ルーロ鉱山から採掘された400カラットの原石)
アフリカ・アンゴラでは、ダイヤモンドの採掘は100年以上前に既に始まっていましたが、当時はポルトガルの植民地下にあり、それらのダイヤモンドはすべてポルトガル商人によってヨーロッパに輸出されていました。
今日アンゴラは、その品質価値と採掘量において10年以上の間世界をリードするダイヤモンドの生産国の一になっています。
いくつもの新しいダイヤモンド鉱床の発見と開発がなされている中で、特に有名なのが、ルカパ・ダイヤモンド社が所有するルーロ鉱山で、ここでは世界最大級のダイヤモンドが採掘されています。
ここで採れるダイヤモンドは、結晶格子内の炭素を置換する窒素をほとんど含まないため、しばしば無色透明になります。
ルーロ鉱山では、最も高価とされるピンクダイヤも採掘され、大型のダイヤと共に世界的に価値のある鉱山に数えられています。
3-5.ダイヤ採掘発祥の国・南アフリカ
( ビッグホールダイヤモンド鉱山 )
南アフリカは近代的なダイヤモンド産業発祥の地といえます。
南アフリカは近代的なダイヤモンド産業発祥の地といえます。
1870年代より、キンバリーの町近くの幾つかのダイヤモンド鉱山で採掘が始まりました。
南アフリカはその後宝石品質のダイヤモンドの大手生産国となり、1920年代にコンゴ共和国に生産量を抜かれるまで、トップダイヤモンド生産国の地位を維持しました。
現在は年間数百万カラットの宝石品質のダイヤモンドを採掘していますが、多くは海岸線に沿って行われています。
何百万年もの間、河川の侵食により内陸部のダイヤモンドが海岸にまで運ばれて堆積物となったのです。
3-6.ブラッドダイヤ・コンゴ
1903年にアフリカ・コンゴで初めてダイアモンドが発見されました。
その後10年余の間に Tsushikapa、Mbuji-Mayi, Kundelung、のそれぞれの高地に次々にダイヤモンド鉱床が発見され、1960年代には年間生産量が2000万カラットと、数量で世界最大のダイアモンド生産国となったのです。
コンゴで採掘されるラフダイアモンドの95%は、黒く炭化した工業用途の品質で、平均価格も1カラット当り14~18ドルと決して高くありません。
ただ、世界でも稀に見る豊穣な漂砂鉱床からは土砂100トン当り500カラットと高い割合でダイアモンドが採掘されるのです。
コンゴで採掘されるラフダイアモンドの95%は、黒く炭化した工業用途の品質で、平均価格も1カラット当り14~18ドルと決して高くありません。
ただ、世界でも稀に見る豊穣な漂砂鉱床からは土砂100トン当り500カラットと高い割合でダイアモンドが採掘されるのです。
さて、コンゴはダイアモンド以外にも銅、コバルト、タンタル等豊富な資源が偏在する土地で、その資源を巡り20世紀を通して絶え間無い戦争の渦中にあります。
戦争に使う武器、弾薬を他国から購入する際これら豊富な資源がその資金源となっておりその中心にあるのが高価なダイヤモンドなのです。
人を殺す道具の資金としてのダイヤモンドをして、ブラッドダイヤモンドと言うようになりました。
ベルギーの植民地支配から独立した1960年に直ちにコンゴ動乱が勃発し、その本質は独立後もコンゴの資源を支配するベルギーと、アメリカを中心とする国連軍との間の資源の支配権の奪回戦争でした。
1961年から1967までの混乱に乗じて、北に隣接する中央アフリカ共和国と、西の旧フランス領コンゴとが、ダイアモンド生産の大半を収奪していた事は公然の事実です。
ダイアモンドを産出しない旧フランス領コンゴから、1967年には600万カラットものコンゴから搾取したダイアモンドが輸出されていました。
3-7. 海底鉱床・ナミビア
(ナミビアのダイヤ採掘船)
アフリカ・ナミビアでは、1908年に鉄道労働者が砂漠の砂の中に小さなダイヤモンドを見つけたのが始まりで、その発見によってダイヤモンドラッシュが起こりました。
ナミビアのダイヤモンド鉱床は海底鉱床で、海底から引き上げられる膨大な量の海底堆積物、からラフダイヤを選り分けて採掘されています。
現在は水深140メートル以上の海域からの採掘でも、スクリーニング、ジグ装置と呼ばれる最新技術を用いて、ダイヤモンドを迅速に分離することが出来るようになっています。
これにより今では海底鉱床からの採掘では世界をリードする存在になっています。
この海底堆積から採掘されたラフダイヤモンドは非常に高い品質を誇っています。
アフリカ大陸の内部から川に流されて来た原石は大西洋に出から沖合の流され、そして堆積していきました。
したがって長い年月をかけて水に研磨されたラフダイヤは、硬度と耐久性に優れた状態に生成され、その多くが宝石品質になるのです。
ナミビアの海底採掘
ナミビアの海岸からの海底採掘:
ナミビアの海岸からのダイヤモンドの海底採掘は、写真に示されているような小さなボートを使用して行われます。
これらのボートには、海底のダイバーが堆積物を吸い上げるポンプが装備されています。
まとめ
現在世界中の多くの国でダイヤモンドの採掘が行われています。
ダイヤモンドが採掘されている国の上位7か国には、それぞれ採掘方法や、生産内容に特徴があります。
• 生産世界一のロシアでは、ダイヤモンドの生産は実質国有事業。
• 埋蔵量豊富が豊富なボツワナは生産量世界第二位を維持。
• 人気生産国であるカナダでは、認定証を発行してカナダ産をブランド化。
• アンゴラでは、400カラットの大粒ダイヤやピンクダイヤなど高価なダイヤを産出。
• 近代ダイヤ採掘発祥の地、南アフリカ共和国の産出量は世界第5位。
• ブラッドダイヤモンドで知られるコンゴ共和国は紛争地域。
• 海底鉱床からダイヤモンドを産出するナミビアは、高い海底採掘技術を持つ。
いかがでしたでしょうか?
ダイヤモンドの流通の元の採掘国には、それぞれ興味深い事実があります。
ダイヤモンド購入にあたっての知的エピソードとして参考にしてみて下さい。
筆者
ヨーアンドマーレ代表
GIA・GG 米国宝石学協会 鑑定士 島田 洋輔
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