昨今の日本の結婚事情において、良く言われ
ているのが、婚姻数の現象です。
昔に比べて若い人たちが結婚しなくなった、
結婚願望がなくなったなどと言われます。
これは、主に結婚式場サイドから報告される
挙式数の減少から来ています。
ただ実際には独身男女の人数を母数とした場
合の、結婚組数の割合はそれほど変わってい
ません。
つまり結婚式を行う組数が人口減少以上に激
減しているからです。
今から20年前は、婚姻数の85パーセントが挙
式を上げていましたが、今では実質30パーセ
ント位まで減っているのです。
1. 結婚指輪をオーダーした7割は挙式をあげない
結婚指輪をオーダーしたお客様10人に
『 挙式はいつ頃お考えですか? 』
と質問すると、7人以上の方が、
『 特に式は考えていません 』
『 まだ式の予定は決まっていません 』
と答えます。
結婚情報誌などでは、挙式を上げる割合は、
約6割位と言われていますが、現場から感じる割合はその半分です。
おそらく婚姻数は、婚姻届を出さない実質婚
姻を含めると以外に多く、また結婚式を挙げ
ない選択をしているカップルの数も考えられ
ている以上に多いのです。
もう一つ最近の傾向として40代以上のカップ
ルの結婚指輪のオーダー数が増えています。
この層で結婚式を挙げる数は非常に少なく、
また婚姻届を急いで出したりはせず、中には
別性のままでいるカップルも相当数います。
ただ、こう言った結婚式を挙げない層にとっ
て結婚指輪はより大切なものになって来てお
り、結婚式を挙げる割合と反比例してオーダ
ーメイドでオリジナル性の高い結婚指輪をつ
くるカップルが増えています。
では、何故実質婚姻数の割合は減少していな
いのに、結婚式を挙げる数が顕著に下がって
いるのでしょうか。
これは、婚約指輪を購入する割合の減少と、
共通するところが大きいと言えます。
2. 婚約指輪と挙式の減少は比例している
婚約指輪の取得率が半分くらいに下がってい
ると言われて久しいのですが、実際には結婚
を決めたカップルの3割位しか購入していません。
つまり、婚約指輪を購入しないカップルは結
婚式も挙げない、これは今の若い世代の、特
に都会に住むカップルの結婚感からすると必
然なのです。
結婚式は両家の両親への感謝、報告の為に、
そして会社関係や親戚筋への報告の為に、そ
の方たちを招いて行われる披露宴です。
また婚約指輪は、新郎から贈られた高価なリ
ングを新婦が薬指にして、婚約を広く世間に
報告する為のものです。
つまりこれらふたつは同じ価値観や社会的な思考の産物であり、それらの必要性が無いと考えるカップルが増えているのです。
もうひとつこれらに共通することは、その費
用が高額であると言うことです。
結婚式の費用の全国平均は200万から250万円
また、婚約指輪のそれは約35万円位とされて
いますので、合わせて300万円近くの出費を考えなければなりません。
これから一緒に結婚生活を始めて行く為に、
多くの出費が必要となるふたりにとって、こ
れら婚約指輪と結婚式は非常に大きな負担に
なります。
やはりどう考えても高額であり、もしこれら
に必要性を感じず取りやめた場合には、金銭
面で非常に楽になります。
これからの結婚世代にとって、本当に価値を
感じるものには費用をかけますが、必然性、
必要性を感じ無いものにはお金は使わない、
そういう価値観がコンセンサスになって来て
います。
結婚式も婚約指輪も不必要のリストに入り始
めており、この流れは止められないのではな
いか、それが現場で結婚世代と接する私たち
の意見です。
みなさんはいかが思われますでしょうか。
これから結婚を考えているふたりに、少しでも参考になれば幸いです。
筆者
ヨーアンドマーレ代表
GIA・GG 米国宝石学協会 鑑定士 島田 洋輔