ダイヤモンドの指輪やネックレスの購入を考えているあなたにとって、このダイヤモンドは婚約指輪にと考えてのことでしょうか、それとも記念のプレゼントとして贈るためでしょうか。
いずれにしても、高価なダイヤモンドの購入に際して、資産としての価値を考えてみる良い機会ではないでしょうか。
ダイヤモンドは経年劣化が無く、世界中どこでも取引出来るという、資産価値として見た場合素晴らしいという事はあまり知られていません。
ただダイヤモンドにもいろいろな種類があり、資産というほどの価値を含んでいないものもあります。
一方で、ダイヤモンドの中のダイヤモンドといわれる種類のものがあります。
それが今回紹介する 【 タイプ Ⅱ 】ダイヤモンドです。
このプログでは、宝石の権威、米国宝石学協会・GIAの宝石鑑定士であり、ダイヤモンドのエキスパートバイヤーが、市場ではほとんど見かける事のない、特別なダイヤモンド、【 タイプ Ⅱ 】について、その詳細を解説しています。
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GIA・米国宝石学協会 宝石鑑定ディプロマ
普段接することのないダイヤモンドの中で、最高品質のものとはどの様なもので、どれほどの価値があるのか、またどうしたら手にする事ができるのかが分かる内容になっています。
ダイヤモンド選びのひとつとして、是非参考にしてみて下さい。
1.最高品質のダイヤモンド・タイプⅡ とは
ダイヤモンドの中で、と呼ばれるものがあります。
普通のダイヤの何倍も輝く、驚愕の美しさを
持つ特別のダイヤモンド、それがタイプ 2 ダ
イヤモンドです。
■ ダイヤモンドは大きく2つのタイプに分かれる
ダイヤモンドは炭素単体で出来ており、その
炭素原子中に含まれる不純物によって科学的
に分類する事ができます。
ダイヤモンドは炭素単体の元素から出来上がった鉱物
それによって、ダイヤモンドは大きく2つに分ける事が出来ます。
一般的に婚約指輪などで使われているダイヤモンドは、主に 【 タイプ Ⅰ 】です。
全てのダイヤモンドの約95%を占める、この
【タイプ Ⅰ 】のダイヤモンドには、主な不純物として窒素原子が含まれており、その濃度は0.1%です。
0.3%までの窒素不純物は、その吸収スペクトルにより青色光を吸収することによって、多くの【タイプ Ⅰ 】のダイヤモンドは、黄色から茶色の色合いをしています。
• ここでダイヤモンドの品質グレードのお話しを少々いたします。
ダイヤモンドには、色、内包物、カット、などその品質を表す項目があります。
この中で、例えば色・カラーの品質を表す基準として、無色透明のトップカラーを『 D 』それからアルファベット順に色が濃くなって行き、黄色や茶色の有色ダイヤモンドとして品質が下がっていきます。
米国宝石学協会・GIAのダイヤのカラーグレード
以上のカラー品質グレードに関することは、全て【タイプ Ⅰ 】のダイヤモンドに関することです。
では上図でも分かる通り【タイプ Ⅰ 】のダイヤモンドにも、Dカラーの様な無色透明のものもあり、全てが黄色や茶色になる分けではないですね。
その通りで、【タイプ Ⅰ 】の中にも最高品質の無色透明なものがありますが、とても少なく希少価値が高いものです。
一般的にダイヤモンドの品質やその選び方について語られているものは、全て【タイプ Ⅰ 】のダイヤモンドついてです。
■ 純度100%の タイプⅡ ダイヤモンド
では【 タイプ Ⅱ 】のダイヤモンドとは、
炭素原子内に窒素不純物を全く含まない、言
わば純度100パーセントのダイヤです。
不純物を全く含まないタイプ Ⅱ ダイヤモンド
一般的な【タイプ Ⅰ 】のカラー評価は、最上
ののものを Dカラーとし、E〜H・・に従って
黄色が増していきますが、【 タイプ Ⅱ 】は
無色透明にて、一般的な【タイプ Ⅰ 】のダイヤモンドの何倍もの透明度を持っています。
【 タイプ Ⅱ 】の透明度は通常の【タイプ Ⅰ 】のDカラー以上で、スーパーDまたはCカラー( 正式な鑑定用語ではない )と言われています。
また【 タイプ Ⅱ 】ダイヤモンドの原石は、【タイプ Ⅰ 】の原石に比べて大きく、また不規則な形状のものが多いといえます。
【タイプ Ⅰ 】ダイヤモンドの一般的な原石
【 タイプ Ⅱ 】ダイヤモンドの無色透明な原石
したがって、【 タイプ Ⅱ 】のダイヤモンドは、
• カラー品質は最上クラス、
• クラリティにおいて、キズや内部クラックはあっても、内包物は全くない
• サイズは最低でも1カラット 以上
のものとなり、おのずと非常に高価なものとなります。
■ 2種類のタイプⅡ ダイヤモンド
タイプⅡbダイヤの代表・ブルーダイヤモンドの原石
ダイヤモンドの原石は、その炭素原子の中の含有物やその量により、【タイプ Ⅰ 】が2種類、【 タイプ Ⅱ 】が2種類、に更に分類されます。
ダイヤ原石の種類
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定義と特徴
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タイプ Iaほぼ全てのダイヤモンド
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- 炭素原子内に窒素不純物が含まれている
- ダイヤモンドの約95%はタイプIa
- ほぼ無色から淡黄色
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タイプ Ib多くの場合濃い黄色
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- 独立した窒素原子を含む
- 多くの場合、明るい黄色で非常に希少なカナリアカラー
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タイプIIa非常に希少
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- 測定可能な窒素またはホウ素不純物はない
- 通常は無色透明、薄黄色、薄ピンクの場合もある
- すべてのダイヤモンドの中で最も化学的に純粋
- すべてのダイヤモンドの1〜2%のみがこのタイプ
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タイプIIb最も希少
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- 炭素原子内に微量のホウ素元素を含む
- 多くの場合、青色または灰色
- すべての天然ダイヤモンドのわずか0.1%がこのタイプ
- 電気を通す
- ヴィッテルスバッハブルーとアポロブルーのイヤリングはタイプIIbです
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上図に示した様に、【 タイプ Ⅱ 】ダイヤモンドは更に2種類に分類され、ひとつは、
【 タイプ Ⅱa 】もう一つは【 タイプ Ⅱb】になります。
□【 タイプ Ⅱa 】ダイヤモンドの原石は、炭素原子内に不純物を含まない、純粋な無色透明鉱物です。
□【 タイプ Ⅱb 】ダイヤモンドの原石は、通常炭素原子内に微量のホウ素を含み、多くの場合、ブルーカラーダイヤモンドにります。
ただ【 タイプ Ⅱb 】ダイヤモンドは、全てのダイヤ原石の中で最も希少性が高く、0.1%以下とされています。
2. タイプ Ⅱ のダイヤ原石は、最も希少価値の高い純粋カラーダイヤモンドになる
【 タイプ Ⅱ 】ダイヤモンドに考えをつきつめると、純粋なカラーダイヤモンドの世界に行きつきます。
■ 純粋な無透明 ・ホワイトカラーダイヤモンド 【 タイプ Ⅱa 】
すべての宝石用ダイヤモンドのわずか
1%〜2%の【 タイプ Ⅱa 】ダイヤモンドで最もよく知られているものとして
• 1109カラットの原石 レセディ ラ ロナ
• 530.2カラットのカリナンダイヤモンド
• 105.60カラットのコイヌールダイヤモンド
などです。
いずれも見つかった時の原石は大きく、不規
則な形状になる傾向があります。
• 購入を希望する場合には、かなりの高額になりますが、可能性のある現実的な価格として、以下を参考に考えてみてください。
1.19カラット Dカラー F(フローレス)
¥ 5.310.000
■ 純粋なピンクカラーのダイヤモンド 【 タイプ Ⅱa 】
【 タイプ Ⅱa 】のダイヤモンドで無色透明のもの以外では、オーストラリア、アーガイル鉱山から採掘されたピンクダイヤモンドやレッドダイヤモンドが有名です。
オーストラリア・アーガイル鉱山で採掘された8.21カラットのピンクダイヤモンドの原石
アーガイル鉱山で採掘された原石からカットされたピンクダイヤモンドとレッドダイヤモンド
ピンクダイヤモンドは非常に希少性が高く、レッドダイヤに至っては、1カラット以上なものは日本に数ピースしたか存在しないと言われています。
ただ、この【 タイプ Ⅱa 】の原石を多数採掘するアーガイル鉱山は、2020年にて閉山されました。
今後、市場に既にあるアーガイル鉱山産のピンクダイヤモンドの希少価値は益々上がって行くと予想されます。
• ピンクダイヤの購入を希望する場合には、かなりの高額になりますが、可能性のある現実的な価格として、以下を参考に考えてみてください。
1.35カラット VIVID PINKカラー VS 2
¥ 7.930.000
■ 純粋なブルーカラーのダイヤモンド 【 タイプ Ⅱb 】
【 タイプ Ⅱa 】以上に希少性が高い【 タイプ Ⅱb】は、ブルーダイヤモンドになる事で知られています。
【 タイプ Ⅱb】ダイヤモンドでは、一部のホウ素原子がダイヤモンドの炭素原子に置き換わり、非常に弱いホウ素濃度により、青みがかった灰色、灰色がかった青色、ビビットな青色になります。
【 タイプ Ⅱb】ダイヤモンドに代表されるブルーダイヤモンドの希少価値は非常に高く、これもまた、1カラット以上のサイズのものとしては、日本に数ピースと考えられており、世界のオークションでも億単位での取り引きとなるものです。
したがって購入希望に際しての、具体的な価格を示すことは現実的ではないと考えます。
ダイヤモンドの希少価値については、その色が大きく関わっている事が分かっていただいたと思います。
ここで、ダイヤモンドの色について少し深掘りしたいと思います。
【 ダイヤモンドのカラーについて】
ダイヤモンドから見える色は、2つの要素が関わっています。
一つは、ダイヤモンドが吸収する光のスペクトルと、もう一つは光のスペクトルに対する人間の可視領域です。
まず、何故【 タイプ Ⅱb】ダイヤモンドは、ブルーになるのか、正確には何故ブルーに見えるのでしょうか。
【 タイプ Ⅱb】ダイヤ原石には、その炭素原子内に、微量のホウ素が含まれることは既にお話しました。
このホウ素は、もともとダイヤモンドが持つ固有の吸収領域を大幅に変えてしまう力があり、赤、オレンジ、黄色の光のスペクトルを吸収し、青色のスペクトルのみが目に入ってくるからなのです。
たとえば、【 タイプ Ⅱa 】ダイヤモンドをはじめ、ほとんどのダイヤモンドは、光スペクトルを吸収しません。(スペクトルの吸収係数はゼロ)
一方【 タイプ Ⅱb】ダイヤモンドは多くのスペクトルを吸収し、人間が見ることが出来る、青色スペクトルと茶色のスペクトルのみを受け取ります。
したがって【 タイプ Ⅱb】のダイヤ原石からは、青色か茶色のダイヤモンドしか生成されません。
それでは【 タイプ Ⅱa 】ダイヤモンドはどうでしょう。
【 タイプ Ⅱa 】の吸収スペクトルを見ると波長2’500 nm〜230nmの光を吸収しません。
この波長においては、【 タイプ Ⅱa 】は完全に透明であり、これには、人間の目が敏感な800 nm〜400 nmの可視範囲の波長が含まれるため、完全な無色(Dカラーグレード)になるのです。
いかがでしたでしょうか。
これら【 タイプ Ⅱ 】ダイヤモンドに共通して言えることは、非常に高額なものが多く、中には億単位のものも珍しくありません。
近年希少価値の高いダイヤモンドは、その希少性と動かし易い利便性から、富裕層にとって資産対象、投資対象として注目され始めています。
もし将来において資産を考える機会があった
なら、この究極の輝きを放つ【 タイプ Ⅱ 】ダイヤモンドを思い出してみて下さい。
究極のパワーストーンとなるでしょう。