結婚指輪といえばプラチナというイメージが
ありますが、市場の4割近くはゴールドの結婚指輪が購入されています。
ゴールドは、貴金属として世界中で最も流通
量が多く、またその価値が高く評価されてい
る金属です。
その豊かで光沢のある色から、欧米ではゴー
ルドの結婚指輪が主流で、実際日本のジュエ
リーデザイナーたちの多くは、自分の結婚指
輪にゴールドを選んでいます。
もし結婚指輪をゴールドでオーダーしたい場
合には、何に気をつけて探していくべきか、
基本的なことは知っておきたいですよね。
このプログは、宝石の権威、米国宝石学協会・GIAの宝石鑑定士であり、また17年以上にわたり、5000組を超えるカップルに結婚指輪を届けてきた、オーダーメイドのエキスパートであるクラフトデザイナーが執筆しています。
_____________________
__________________
GIA・米国宝石学協会 宝石鑑定ディプロマ
日本でゴールドといえば、18金が最も一般的
で、その他のゴールド、10金、14金、24金の
結婚指輪をあまり見かけないのはなぜでしょ
うか?
また、なぜ18金が良いと言われているので
しょうか。
このブログでは、ふたりの未来に金運をもた
らすと言われているゴールドの結婚指輪につ
いて、職人が、その種類による違いを分かり
やすく伝えたいと考えました。
是非参考にしてみて下さい。
1.K24ゴールドは結婚指輪には適していない
K24・24金は、ゴールドの含有率が100%
つまり純金のことを指します。
同じゴールドの結婚指輪をオーダーするので
あれば、純金の結婚指輪も悪くないと考えま
すよね。
ただ、私たちヨーアンドマーレでは、K24・
純金での結婚指輪のオーダー依頼はほとんど
受けていません。
それはお客様を選んでいるわけでも、また製
作不可能な訳でもなく、K24・純金が結婚指
輪に適していないからです。
K24・純金は非常に柔らかくてしなやかで、
琥珀に輝く素晴らしいルックスの金属です
琥珀に輝く素晴らしいルックスの金属です
が、現実的に日常使うには、耐久性の面で指
輪としては柔らか過ぎて、すぐに曲がってし
まいます。
金は原子番号79の金属元素で、イオン化傾向
は、全金属の中で最小であり、反応性が低い
ため、錆や腐食には極めて強い金属です。
つまり、柔らかいのですが、経年劣化がな
く、錆ないで輝き続ける金属、それが純金で
す。
金崇拝の強く政情不安な中東諸国では、実際
に純金の指輪も販売されています。
既製品として販売はされていませんので、も
し是非K24の純金の結婚指輪を購入したいと
いうお客様がおられれば、オーダーメイドに
てお作りすることは可能です。
もし純金に近くて、ある程度の耐久性がある
結婚指輪を考えるのであれば、K22・22金の
ゴールドリングはいかがでしょうか。
2.K22ゴールドの結婚指輪をオーダーする
ある程度の耐久性を持たせて、 輝きを最大限にしたゴールドとしておすすめするのが、金の含有量が91.6%のK22・22金です。
K22・22金であれば、金本来の美しさと最高
の価値を兼ね備えた結婚指輪が出来上がりま
す。
また、これも既製品ではなかなか無いものな
ので、オリジナル性も含めてオーダーメイド
で依頼する価値はあると思います。
ただ、金の品種の中でK24を除いて最も柔ら
かく、他に比べて早く摩耗する可能性があり
ます。
そのマイナス面を理解した上で、結婚指輪として検討してみてはいかがでしょうか。
3.日本のゴールド結婚指輪の90%は18金
K18・18金の結婚指輪は、75%の金と25%の割がねが含まれる合金にて、日本で最も一般的なゴールドリングと言えます。
よく比較されるのが14金ですが、金の含有量
がより多く、高品質と考えられているので、
品質を重視する日本では、高級ジュエリーに
使用される18金が主流となってきたのです。
ただ、金の純度が高い18金はその分柔らか
く、14金に比べて摩耗し易く、耐性は劣り
ます。
ここまで見てくると分かると思いますが、金
の純度を表す 『 ……金 』といのはその輝きと耐久性のバランスを表しているとも言えま
す。
金の純度が増せば輝きが増して行き、価格も
高くなりますが、耐久性は落ちて行きます。
そう言う意味では、次の14金とこの18金は、
輝きをとるか耐久性を取るかで好みが変わり
ます。
4.14金ゴールドの結婚指輪は耐久性と輝きのバランス!
K14・14金には、58.3%のゴールと41.7%の
割がねが含まれています。
14金は.、その耐久性とその審美性から結婚指輪に理想的なゴールドと言われており、特にアメリカでは最も一般的です。
ゴールドの結婚指輪は、国によってその金の
含有量と合金のバランスに対する考え方が異
なります。
14金を好むアメリカでは、品質よりその耐久
性と価格をより重視するものと思われます。
18金ゴールドよりも耐久性を重視した14金
は、摩耗しにくく、簡単に変色することも亜
りません。
そのため米国では婚約指輪と結婚指輪を含め
たゴールドリングの約90%が14金で作られて います。
一方日本では結婚指輪に使用される割合は約
20%ほどです。
また金と銅の合金である14金ピンクゴールド は、18金ピンクゴールドより銅の割合が多く
含まれているため、18ピンクゴールドよりも しっかりとしたピンクの色を示します。
5.K10ゴールドの結婚指輪はコスパに優れている
10金ゴールドは純金41.7%、割がね58.3%か
らなっており、18金、14金、を含めたカラッ
トゴールドの中で、金の純度が最も低く、安
価です。
したがって、18金と14金の結婚指輪よりもイ
エローの色が薄く、また変色する可能性もあ
ります。
一方で、耐久性を増す為の割がねの量は多い
ので、18金に比べて硬く曲がりにくく、より
低いコストで強いゴールドの結婚指輪、つま
りコスパに優れた指輪を望むのであれば、1
0金は適した金属といえます。
もし、10金の硬さを持ったまま、ゴールド色
をもう少し強くしたい希望がある場合には、
K12・12金で結婚指輪をオーダーすることも
できます。
6.結婚指輪に世界共通のゴールドのカラット刻印を
インターネットから世界中のどこからでも金
を買うことが可能になった今、多くの製造業
者は金の刻印を使用しています。
貴金属含有量は1000分の1で表されます。
この金の刻印は、世界的に広く認識されてお
り、以下に、金の純度とそれを該当する刻印
を記載致します。
K24 = .999
K18 = .750
K18 = .750
K14 = .585
K10 = .417
ゴールドの結婚指輪の内側には、必ず金のカ
ラット刻印が入れられています。
これは、その商品がどんな合金で製造された
のかを示すもので、修理が必要になった時
には、担当者はその刻印に沿って行っていき
ます。
もし間違った刻印が押されていた場合には、
修理中にトラブルが発生することもあり、カ
ラット刻印は、品質を伝える上で非常に重要
なものなのです。
ゴールドの結婚指輪を購入した際には、必ず
確認してみて下さい。
まとめ
1.K24の純金は経年劣化がなく、純度100%
の素晴らしい金属ですが、非常に柔らかく結
婚指輪には適していない素材です。
2. K18・18金は、結婚指輪の素材として、日本で最も一般的に使われているゴールドで、高い品質と耐久性のバランスの取れた合金で
す。
3. K14・14金は、耐久性に優れた最もバラン
スのとれた合金として、アメリカでは一般的
に使われています。
4. K10・10金は、他のカラットゴールドに比
べて割がね金属の含有量が多いため、色が薄
く安価ですが、耐久性が高く曲がりにくいの
で、曲がらない結婚指輪をオーダーする場合
の選択肢となります。
5. ゴールドの含有率に従って、世界共通のカラット刻印が設定されており、ゴールドの結婚指輪には品質を表す為にカラット刻印は入れられています。
いかがでしたでしょうか
これらの情報が結婚指輪選びの手助けになれ
ば幸いです。
筆者
ヨーアンドマーレ代表
GIA・GG 米国宝石学協会 鑑定士 島田 洋輔