婚約指輪をオーダーメイドで依頼したいと考
えています。
ただ、いったいどんな流れで進んで行くの
か、また予算よりはるかに高額なのではない
か等、初めての事で想像もつきませんよね。
一般にはあまり知られていませんが、ジュエ
リー業界で働く人間の多くは、婚約指輪をオーダーメイドで購入しています。
それは、宝飾品のクラフトデザイナー達は、顧客が希望する商品を作り上げる方法を熟知しているので、彼らのリードに沿って依頼すれば、既製品より良いものが、抑えた価格で購入出来る事を知っているからです。
このプログは、宝石の権威、米国宝石学協会・GIAの宝石鑑定士であり、また17年以上にわたり、5000組を超えるカップルに結婚指輪を届けてきた、オーダーメイドのエキスパートである職人・クラフトデザイナーが執筆しています。
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GIA・米国宝石学協会 宝石鑑定ディプロマ
ここでは、婚約指輪のオーダー依頼を受けた
デザイナーや職人達が、どのようにしてあなたをリードしていくのか、その4つの基本的な手順を伝えています。
これを読めば、婚約指輪のオーダーメイドに興味はあるけれど、どの様に依頼すれば良いかわからない、指輪をオーダーでデザインするなんて、何か難しそう、そう考えているあなたに、オーダーメイドの正しい手順が分かる内容になっています。
是非参考にしてみて下さい。
1.希望する婚約指輪のデザインを伝える
まず、最初に聞きますが、
「 こんな婚約指輪が欲しい 」
「 オーダーメイドでこんなデザインのリングを依頼したい 」
そう考えるものはありますか?
ー 特にまだ決まったものはありません。
これだとオーダーメイド依頼は出来ないですか?
いえ、そんな事はありません。
ただ、最低限どんなリングが好きで、どんな感じが好みではない、くらいは依頼する際に伝える必要があります。
■ 特にまだ欲しい婚約指輪が決まってない
もし、あまり深く考えたことはない、または、いろいろな婚約指輪を見れば見るほど、どれも良く見えて、絞る事ができない、
そんなあなたの場合には、まず自分の好みやデザインのタイプを人に伝える必要があります。
最初に「 婚約指輪デザイン 」や「 エンゲー
ジリング 」などのキーワードで画像検索を行なってみましょう。
その中から「 いいな 」と思ったリングの写真を写メに撮って保存してみて下さい。
これを繰り返すことによって、最新のデザイ
ントレンドが分かるようになるのと同時に、保存した写メを見返してみた時に、無意識に自分が好む婚約指輪のデザインが分かります。
それを自分でなかなか整理出来ないなと思っ
た時には、そのままオーダーメイドのショッ
プに行って、スマートホンを担当者に見せて
みて下さい。
熟練のデザイナーであれば、すぐにあなたの
好むの傾向性を理解して、まとめ上げたデザイン画や模型を見せてくれる事でしょう。
■ ある程度の希望イメージがある
また、依頼したいデザインがハッキリと決まっているわけではないですが、コンセプトやイメージくらいはある。
例えば、『 アンティーク 』な感じのデザインがいい、『 ネコ 』をコンセプトにした婚約指輪をデザインしてもらいたい、などの希望があったらそれを伝えてみて下さい。
デザイナーは、それをベースにした過去の作品を見せながら、よりデザインを絞り込んで行ってくれることでしょう。
また、画像検索や店頭でイメージに近い婚約指輪があったので、これをベースにデザインを自分好みに変えて行きたい。
そんな場合も、そのベースのリング画像を見せながら、そのまま店頭の担当デザイナーに伝えてみましょう。
その画像をもとにしながら、修正を加えた新たデザイン画像をつくって、見せてくれると思います。
■ 欲しい婚約指輪のイメージがある場合
もし、店舗に担当者と話す前の段階で、オーダーしたい婚約指輪が決まっている場合は、それをそのままデザイナーに伝えましょう。
ただ、その伝え方として、写真や画を用意してみて下さい。
当然新しいリングなので、写真などはないので、見せることは難しいかもいれませんが、イメージの近いものを見つけて、それを交えて話してみてください。
また、デザイン画などを見せる事が出来れば、良いと思います。
そのデザインも、きれいなものでなく、簡単な素人のイラストのようなものでも大丈夫です。
熟練のデザイナーであれば、ポイントさえ伝われば、しっかしと理解してくれると思います。
□ アップルエンゲージ
話し合いの中から出てきた希望を、デザイナ
ーは、サンプルリングや、ラフデザイン画や立体模型モデルを製作して、あなたの頭の中にあるデザインイメージを形にしていこうとして来る事でしょう。
オーダーメイドで婚約指輪を製作する場合に
は、デザイナー達はあなたの好みや希望をしっかりと共有し、信頼を得るプレゼンテーションをしてきます。
もし、疑問に思う事がある場合には、しっかりと質問をして、納得するまでききましょう。
ただ、その担当者があなたの質問に答える事が出来なかったり、ごまかす様な態度が見受けられたなら、その担当者への依頼は見合わせた方が良いかもしれません。
結婚指輪をオーダーメイドで成功させる【4つの独創的な方法】とは!>
2.センターストーンを決める
婚約指輪の全体的なデザインがある程度分かって来た段階で、リングのセンターに輝く金センターストーンの宝石を決めて行きます。
希望するセンターストーンがダイヤモンドの
場合には、そのサイズや形によってリング全体のデザインが大きく変わります。
また、その大きさや品質によって、価格もまたかなり変わるので、ダイヤモンド選びについての基礎知識を担当者から伝えてもらい、選んでいきます。
中でも最も一般的なのはラウンドブリリアン
トカットのダイヤモンドです。
予算とリングデザインとのバランスを考えな
がら、上質のダイヤモンドを選ぶ必要があり
最初に希望を出したリングデザインと、ダイヤモンドが決まった段階で、その合計が婚約指輪の見積もりとなり出てきます。
この段階で、自分の予算から大きく離れている場合には、再度ダイヤモンドの選び直しを考えていきます。
■ ダイヤモンド以外の宝石で婚約指輪を
婚約指輪はダイヤモンドが一般的ですが、オ
ーダーメイドにて、好きな宝石で作るカップ
ルが増えています。
また、センターストーンがカラーストーンの
場合には、その色や形によってバランスのと
れた金属の種類や、リングデザインがありま
す。
人気の宝石としては、
● アレキサンドライト
超希少!アレキサンドライトで婚約指輪をーその魅力と価格を徹底解説 >
● パライバトルマリン
● ローズカットダイヤモンド
● バパラチア
希少宝石!パパラチアを結婚指輪にオーダー!【宝石鑑定士が伝授】>
● モアサナイト
などです。
もちろんその他の宝石で婚約指輪をつくるのは、ふたりの希望しだいでしょう。
ダイヤより希少価値の高い5つの宝石で婚約指輪をオーダーメイドする >>
3.何の金属で婚約指輪をオーダーするか
どんな金属の婚約指輪が好みですか?
ゴールド、プラチナ、またはピンクゴールド
がいいですか?
ヒントの1つとしては、ネックレスやファ
ッションリングなど、普段から身に付けてい
るアクセサリーはどんな金属を選んでいる
か、で自分の本来の好みを考えてみてはどう
でしょうか。
その上で自分にとって婚約指輪はどういう存
在なのかでプラチナにするのか、その他の金
属にするのかが決まります。
○ 自分にとって婚約指輪は特別で、白いウェ
ディングリング以外は考えられない。
○ 両親や友人にもしっかりと婚約の報告し
て、婚約指輪を見てもらいたい。
○ 自分の中では婚約指輪は特別なもの、ファ
ッションリングはいつでも買える。
婚約指輪をこのように考えるのであれば、迷
わずプラチナを選ぶのがよいでしょう。
○ プラチナの婚約指輪だとフォーマル過ぎ
て、結婚後はなかなか付けて行くところが
無い。
それよりファッションリングとして着けや
すいデザインがいい。
○ 別に婚約指輪を人に見せるつもりは無く、
それより自分が好きなものをプレゼントし
てもらいたい。
このような考えで婚約指輪を探しているので
あれば、プラチナ以外の金属を候補に上げて
も良いのではないでしょうか。
4.婚約指輪の完成形の模様・ワックスモデルをつくる
第3のプロセスでは、話し合いから決まった
そのリングの完成形を、立体の模型にした
ワックスモデルを再度製作します。
これは鋳造して金属化する為の原型の様なも
のです。
これを一旦顧客が確認し承認された段階に
て成約となり、本製作の段階へ進んでいきま
す。
顧客の承認を得たデザインのワックス原型
は、この後指定の金属へと移行していくので
すが、その工程を簡単に説明します、
そのワックス原型模型はローソクと同じ成分
からなっていますので、熱が加えられると溶
けてしまいます。
その性質を利用して、石膏で固めて周りか
ら熱すれば、そのワックスモデルは溶け落ち
石膏の中に婚約指輪の立体デザインが空洞と
なって残ります。
そこに溶けて液状化した金属を流し込み冷却
すれば、その金属フォームは石膏の中に残り
ます。
これが鋳造と呼ばれる、金属の形を作る製法
です。
その後石膏を割って、中から金属フォームを
取り出すと、指定金属が例えばプラチナであ
る場合には、模型で見たデザインのプラチナ
リングが出てきます。
5.購入予算の範囲内で婚約指輪を探す
これから結婚に向け、二人にとって大きな資
金が必要になって来ます。
結婚へスタートする最初の贈りものである婚
約指輪。
それに予算以上の資金をかけてしまって、後
で困ってしまう事態になれば、せっかくの幸
せへのエンゲージが台無しになります。
婚約指輪は高価なものであり、価格に上限な
どありません。
よく店員の話しを聞いて、少しでも予算に余
る高額商品を押して来るようであれば、その
店舗は一旦離れた方が良いかもしれません。
6. 完成間近の婚約指輪のデザインと留める宝石の確認
最後のプロセスは石のセッティングです。
宝石担当者と職人が一緒になって、センター
ストーンやダイヤモンドを選びます。
デザインアクセントの為の小さなダイヤモン
ドや宝石は、センターのダイヤモンドとのバ
ランスと、リング全体にわたってのデザイン
の一貫性とまとまりのある外観になるよう
に、ダイヤモンドの位置を決めていきます。
ダイヤモンドや宝石は、手で留めるハンドセ
ットにより、金属に入れたマークに沿って入
れられます。
ダイヤモンドが入ったら、顧客のオーダー
メイド婚約指輪は、再度磨かれて仕上げられ
ていきます。
その後の最終検品にて、金属に引っかき
傷やへこみ、気泡がないかなどチェックさ
れます。
デザイナーと職人と常に留意するのは、その
デザインとセットされた宝石とのバランス
です。
もし完成した婚約指輪の外観に違和感が
あるとすれば、それはバランスが崩れて
いるからでしょう。
また、全ての石がしっかりと固定されて
いるかしっかりと確認されます。
婚約指輪の検査が終わり、品質管理チーム
が問題ないことを確認したら完成です!
まとめ
婚約指輪をオーダーメイドで自分の好きなデ
ザインにて依頼する際には、以下のプロセス
で進んで行く事を覚えておきましょう。
1. 婚約指輪の全体的なデザインを共有する
為、デザイナーはサンプルリングやラフ
画、そして仮のワックス模型を示して、プ
レゼンテーションを行う。
2. 大まかなデザインが決まったら、それをど
んな金属でつくるのか、センターの宝石は
どんな大きさや形のものにするのかを決め
て行く。
3. ほぼデザインが決まった段階で、その婚約
指輪の完成デザインのワックス模型を作り
確認する。
承認された段階で成約となり本製作に入
る。
4. リングが指定金属で金属化されてから、実
際に留めるセンターストーンを決めると同
時に、サイドストーンを決めて、最後にマ
ークをつけた場所に手で留めて行く。
最後の検品後に完成となる。
いかがでしたでしょうか。
これから婚約指輪をオーダーメイドにて考え
ている方は、この様なプロセスを頭にイメー
ジしながら進めて行ってみて下さい。
筆者
ヨーアンドマーレ代表
GIA・GG 米国宝石学協会 鑑定士 島田 洋輔
千葉・柏で結婚指輪をオーダーメイド
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