結婚指輪なんて似たようなものばかりで、ど
こも同じだよ。
二人共が好きなリングなんて、どうせ見つか
らないのだから、とりあえすシンプルなデザ
インにしよう。
結婚指輪を探しているカップルに一番多いパ
ターンです。
もちろんシンプルなデザインの結婚指輪が悪
い訳ではありません。
ただその理由が、二人の好みのデザインが見
つからないからと言うことであれば、2人共
そのシンプルな結婚指輪が特に好きではない
と言う事です。
同じ高いお金を出すのであれば、可愛いく
て、カッコいい、そしてふたりが納得出来る
自分好みのリングを購入したいですよね。
このプログは、宝石の権威、米国宝石学協会・GIAの宝石鑑定士であり、また17年以上にわたり、5000組を超えるカップルに結婚指輪を届けてきた、オーダーメイドのエキスパートであるデザイナーが執筆しています。
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GIA・米国宝石学協会 宝石鑑定ディプロマ
ここでは、もしピンと来る結婚指輪が見つからないのであれば、オーダーメイドで製作するメリット、そして必ずしも同じデザインのリングでなくても良い理由を伝えています。
今結婚指輪の購入を考えていて、ふたりの意見がなかなか一致しないと悩んでいるのであれば、ペアデザインではなく、形の違う結婚指輪を、オーダーメイドで依頼する方法が分かる内容になっています。
是非参考にしてみて下さい。
1.結婚指輪のデザインが必ずしも同じ必要はない
『 結婚指輪をふたりで探しているのですが、
なかなかいいのが見つからないので…. 』
オーダーメイドで結婚指輪を依頼されるお客
様の多くは、そう言われて来店されます。
話しを聞くと、それぞれ個人的に好きなデザ
インのリングはあるようですが、ふたり共に
意見が一致するペアの結婚指輪が見つからな
いと言うことの様です。
したがってふたりの意見の妥協点が、無難な
シンプルなデザインとなり、店頭には20年前
と変わらない、フツーの結婚指輪が並んでい
るのです。
新しいデザイン、斬新なデザインの結婚指輪
は売れないからです。
ただ考えてみて下さい。
女性と男性では、デザインに対する感性が全
く異なります。
■ 女性と男性ではデザインの嗜好性が全く違う
女性の多くは、柔らかい曲線ラインを好む傾
向にあります。
また左右非対称のアシンメトリーデザインを
好み、カラーや輝きを欲します。
総じて、付け加えていく『 プラスのデザインン 』に惹かれる傾向があります。
片や男性の多くは、直線ラインや左右対称の
シンメトリーデザインを好み、モノトーンで
削ぎ落として行く『 マイナスのデザイン 』に惹かれるのです。
少し硬い言い方をすると、生物学的に正反対
の感覚と行動パターンを持つ、この女性と男
性の好みが一致する装飾品を、他人がデザイ
ンした店頭品の中から見つけ出すことは、ほ
ぼ不可能です。
少なくとも、ジュエリーデザイナーはそう考えています。
であれば、敢えてペアデザインではなく、そ
れぞれに好みの、そして着けやすいデザイン
の結婚指輪をオーダーメイドで作ると言う考
えに至ります。
ちなみに結婚指輪の文化のルーツである、イ
ギリスやイタリアのヨーロッパ諸国では、結
婚指輪は、代々その家族が依頼している、馴染みの宝石店でオーダーしています。
また、彼らは、有名ブランド店で、既製品のペアリングを結婚指輪として購入したりはしません。
指の形状が皆違うので、着け心地の良いリングは、オーダーであつらえる必要がある事を知っています。
また、ふたりの好みが一致するペアデザインの結婚指輪を、既製品で見つけるのが難しいことも、経験から良く知っているので、それぞの好みに合ったリングをオーダーメイドで依頼するのです。
【 2本のデザインが違う結婚指輪 】
2. デザインの違う結婚指輪をペアにする方法
実際にオーダーメイドで結婚指輪の依頼をするカップルは、デザインの全く違うリングを希望するかと言うと、そうではありません。
『 それぞれが好きなデザインでお願いしたいのですが、ペア感は欲しいです 』
との希望を伝えてきます。
この一見矛盾した依頼内容の中に、オーダーメイドで結婚指輪をデザインするメリットがあります。
では、私たちオーダーメイドのジュエリーデザイナーは、どの様に結婚指輪をデザインしていくのでしょうか。
■ 別々にデザインを考え、共通部分を加えていく
> 実際にヨーアンドマーレでオーダー製作した、ハワイアン模様のレディスリングと、シンプルなプラチナのメンズリングです。
デザインの違う結婚指輪ですが、この製作過程を簡単にお伝えします。
1. 最初の希望
レディスリングは、ハワイアンの模様が入るゴールドリングが欲しい。
メンズリングは、プラチナのシンプルなリングが欲しい。
出来ればペア感を出したい。
• レディスリングの希望イメージ画像
• メンズリングの希望イメージ画像
この2画像を見ても、全く違うデザインのリングを希望しているので、ペア感は皆無です。
2. 金属の色を共有させる
メンズリングのプラチナは譲れないとのことなので、レディスリングをプラチナにするのでは無く、プラチナにゴールドを入れて、2カラーのコンビにするのはどうか。
それによって、ゴールドカラーを共有し、ペア感を与えるので、ふたりに提案をしたところ、デザイン上違和感がないのであれば受け入れていただけるとの事でした。
レディスリングの外側をプラチナ、内側をゴールドにして、2カラーのコンビネーションにした。
■ レディスリングの内側はゴールド、外側はプラチナの2カラーコンビにデザインした
3. リング両サイドに共通のミルグレイン
ミルグレインとは、リングの両サイドエッジや、留められた宝石周りに装飾するドットのラインで、主にアンティークジュエリーや、ハワイジュエリーに使われているデコレーションです。
このミルグレインを、レディスリングの両サイドに施して、ハワイアン模様を引き立てるデザインを提案しました。
そして、同時にメンズリングにも、その両サイドにミルグレインを施して、レディスリングとの共通点をつくり、ペア感を加える提案をしました。
■ レディスとメンズリングの両サイドに、共通のミルグレイン装飾をほどこした
こうして、レディスリングとメンズリング共に、プラチナとミルグレインという共通の部分をデザインに加えることによって、『 ペア感を持つ違うデザインの結婚指輪を 』というオーダー依頼に応えました。
【 2本のデザインが違う結婚指輪 】
3. 結婚指輪の内側をペアデザインに
もし、結婚指輪にお互いの共通するデザインを加える事が出来ず、ペア感の無い、全く違う結婚指輪になった場合、お互いに納得していたとしても、やはり心残りですよね。
ではそれをリングの内側で表現してみてはど
うでしょうか。
指輪の内側であれば、どんなペア感でも躊躇
なく表現出来ます。
• 2人にしか分からない秘密のマーク
• 大好きなゲームのキャラクター
• 変わったフォントで書かれた名前
• 子供の名前や、アニメのキャラクター
等、ふたりが良ければ何なりと希望を出すことが出来ます。
ヨーアンドマーレでは、結婚指輪の内側に入れる名前、模様などは手彫りにて行なっています。
結婚指輪の内側は、ふたりの繋がりを刻む場
所と考えてみて下さい。
結婚指輪をオーダーメイドでのリング作りが楽しいものになって来る事でしょう。
いかがでしたでしょうか。
結婚指輪をペアで欲しい、でもふたりのデザインの好みが全く違う。
そんな時、一度結婚指輪をオーダーメイドでつくってくれるお店に相談してみて下さい。
経験豊富な担当デザイナーであれば、いろいろなアイデアを与えてくれると思います。
筆者
ヨーアンドマーレ代表
GIA・GG 米国宝石学協会 鑑定士 島田 洋輔