ダイヤモンドの原石を光り輝く宝石に変える
のが、カッティング クラフトマンと呼ばるカ
ッター職人たちです。
そして、そのカットの精度によって、品質グ
レードは大きく6段階に分けられ、グレード
が高ければ光り輝くダイヤモンドとなり、価
格も高くなります。
したがって、全てのカッターは、ダイヤモン
ドを完璧にカットして、光り輝くものを一つ
でも多く世に送り出すよう日々努力していま
す。
ダイヤモンドの上手な購入に最も大切なカッ
トグレード。
ダイヤモンドの購入を考えているのであれば、高い技術を持ったカッター職人が手がけた、品質の良いダイヤモンドを購入したい、そう思いますよね。
ただ実際には、カッターは完璧な美しいカッ
ト品質など目指していません。
このプログでは、宝石の権威、米国宝石学協会・GIAの宝石鑑定士であり、ダイヤモンドのエキスパートバイヤーが、ダイヤモンドのカット職人にスポットをあてながら、ダイヤモンドの理想的な選び方を伝えています。
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GIA・米国宝石学協会 宝石鑑定ディプロマ
あまり知られていませんが、ダイヤモンドの
市場を動かしている、このカッター職人たち
の考えをお伝えることによって、賢いダイヤモンドの購入に役立つ知識が得られることでしょう。
是非参考にしてみて下さい。
1.熟練職人がダイヤモンドを最高品質にカットすると小さくなる!
ダイヤモンドの原石にカット面を入れなが
ら、いわゆるブリリアントカットに仕上げて
いくのがカッティング クラフトマン・カッタ
ー職人です。
主にベルギーのアントワープや、イスラエ
ル、そしてインドなどにダイヤモンドのカッ
ティング商社があり、そこで働くカット職人たちは、ダイヤモンドを知り尽くしたエキスパートと言えます。
カッティングの機械を操作しながら、ダイヤモンドの原石を慎重にカット面をつけていく
ダイヤモンドの旋盤に原石を押し当てながら、カット面・ファセットを入れていく
ちなみに日本にはカッティング商社は存在し
ないので、日本のダイヤモンド輸入商社は、
それらの場所に行き、買い付けして輸入をしています。
カッティングの商社は、まずダイヤモンドの
原石を、世界的なダイヤモンド採掘商社から
買い付けます。
カットを施される前のダイヤモンドの原石
それぞれの原石から最適なブリリアントカッ
トの値を導き出しながら、カッティングを行
なっていきます。
ダイヤモンドのカットグレード( カット品質)は、主に6段階に分かれています。
■ 3EXELLENT (トリプルエクセレント )
■ EXELLENT ( エクセレント )
■ VERY GOOD ( ベリーグッド )
■ GOOD ( グッド )
■ FAIR ( フェア )
■ POOR ( プア )
・ 右 トリプルエクセレント
・ 中央 深さがない グッドカット
・ 左 深過ぎる フェアカット
カッター職人たちは、基本的に品質の高い、そして光り輝くダイヤモンドになる様に、カットしていきます。
ただ同じダイヤモンドの原石を、仮にレベル
の高いカットに近づけて行く、
つまり、 トリプルエクセレントカットに近づけていけばいくほど、もとの原石を削り取っていくので、そのサイズは小さくなって行きます。
上図を見て下さい。
左端は原石からエクセレントカットの最大の
ダイヤモンドを採取した場合ですが、右端の
グッドカットのダイヤを採取した場合より、
明らかに小さいサイズに切り出されるのご分かります。
サイズが小さくなると言うことは、そのダイ
ヤモンドの価値も下がっていきます。
ダイヤモンドのカッターは、そのダイヤが小
さくなる価値の減少と、カット品質が上がっ
て得る付加価値のバランスを常に考えなが
ら、カッティング作業を続けていきます。
2.ダイヤのカッター職人が目指すのは美より利!
現代のダイヤモンドカットは、先進諸国と後進国では大きく違います。
労働コストの低い後進国では、ひとつひとつの原石を手で旋盤に押し当てながら、カット面をつけて行く、昔ながらの手作業でおこなわれています。
インドでは、ダイヤモンドカットの多くは、手作業にて行われている。
一方、先進国、主にイスラエルやベルギー、ニューヨークのカッティング商社では、職人の手では行われていません。
それぞれの原石の内容をコンピュータでキャプチャーし、データ化することによって、カッティングプログラムを作りあげます。
そのプログラムが導き出す最適な個数と、カット内容に従ってカットを進めて行くのです。
時にはX線解析にて、原石内部のキズの位置や大きさなども割り出しながら、プログラムしたカット内容を、原石を掴む端末ロボットに伝えて、実質的には、コンピュータ管理にて完成させて行きます。
以下のカット評価基準に従って、カッティン
グ施工を進めていった場合、
GOODから VERY GOODへカットを進めて小
さくなる事によって、その価値、価格は15%
下がります。
ただ、VERY GOODへカット品質を上げた結
果、GOODより18%価格が上がるのであれ
ば、差し引き3%の価値上昇になるので、カッ
トする意味があります。
次にVERY GOODから、EXELLENTにカットして小さくなる分、また価値は18%ほど下が
ります。
それに伴ってカット評価が上がった分、付加
価値として14%上昇したとします。
これだと価値は差し引き4%の下落になり、より光り輝くカットを施したほうが損をするということになります。
よって、カット職人はこのダイヤモンドを
VERY GOOD以上にはしません。
つまり、より美しくなると分かっていても、
利益が減るのであれば、敢えてカットの精度
は上げないのです。
3.大きなダイヤには上質なカットは少ない
ダイヤモンドの価値を決める時、最も重要な
のは、その大きさ ( 重さ カラット ) で、大き
い事に勝る品質評価はありません。
したがって、サイズの大きなダイヤモンドを
わざわざ上質カットに小さくする職人は少な
いので、サイズが大きくなればなるほど、上
質なカットのダイヤモンドは少なくなりま
す。
ここに2つのブリリアントカットのダイヤモンドがあります。
1 ) 1.0 カラット Gカラー S I 1 GOODカット
2) 0.5カラット Gカラー S I 1 E X カット
どちらも丸いダイヤモンドなので、その直径
は、それぞれ
6.5mm と 5.2mm
1カラット のダイヤのカットは、GOOD
0.5カラット のダイヤのカットは最高グラスの エクセレントカット です。
ただ 1カラットのダイヤモンドの見た目のイ
ンパクトは絶大で、最高級カットの エクセレ
ントカットを持ってしても、 0.5カラットの
ダイヤモンドは足元ににも及びません。
また視覚効果だけでは無く、この2つのダイ
ヤモンドの市場価値の差は、4倍以上に昇ります。
カッターはダイヤモンドの大きさを確保する
ことを念頭に入れて、時には敢えて美しいカ
ットを施さない選択をします。
したがって3エクセレントカットの様な最高
級のカット品質を持ったダイヤモンドは希少
なのです。
婚約指輪を探しているのであれば、同じ大き
さのダイヤモンドを比べた場合、3エクセレ
ントカットの輝き、そして価値は明らかに上
です。
もし予算が許されるのであれば、3エクセレ
ントカットのダイヤモンドをおすすめしま
す。
ただし同じ価格で、カット品質は低いがサイズの大きなダイヤモンドと、カット品質は高いが、サイズが小さいダイヤモンドがあった場合、あなたはどちらを選びますか。
4.大きなダイヤを選ぶか、カットがきれいなダイヤを選ぶか
ここに同じ価格の2つのダイヤモンドがあります。
1. 0.20ct 3EXCELLENT カット
2. 0.3ct GOOD カット
1.のダイヤモンドは、少し小さいサイズの
0.2カラットですが、トップカットのトリプルエクセレントで、とても輝きます。
2.のダイヤモンドは、1.より大きなサイズの0.3カラットで、カットは中程度のグッドカットです。
1.と2.のダイヤモンドのカラーとキズが同じ品質にて、価格も同じである場合どちらにするか迷いますよね。
ダイヤモンドのカット職人もまた、原石を前にした時、どちらにもカット出来る場合には同じように迷う事でしょう。
実は、ダイヤモンドの価値を考える場合、大きさを取るか、カットの良い品質を取るかは、何十年も前からの永遠のテーマとされてきました。
■ アメリカ人は大きなダイヤが好き
アメリカに輸入されるダイヤモンドのほとんどはGOODカットレベルで、エクセレントレベル以上の品質のもは少ないのです。
これは、アメリカの国民性を表している典型的な例とされ、ダイヤモンドとは富の象徴であり、自己顕示の為の装飾であるので、何よりも大きさが優先されます。
カットの品質や内包物の有無などは、全て裸眼では見えない世界の事なので、同じ費用を払うのであれば大きさに使う、至極当然の考え方といえますね。
■ 日本人は上質なカットダイヤが好き
一方日本人はというと、大きさより品質の高いカットのダイヤモンドを好みます。
これは、世界的にも稀有な嗜好性を持った国民と言われ、それはダイヤモンドの輸入内容を見れば明らかなのです。
アメリカに輸入されるダイヤモンドの平均サイズは0.5以上なのに対しら日本に輸入される平均サイズは0.2カラット前後で、圧倒的に小さいのです。
ただカットの品質レベルでは、最低でもVERY GOOD カットを要求し、低い品質のものはサイズが大きくても人気がありません。
この、ダイヤモンドは大きさより品質重視の考え方は徹底しており、海外のダイヤモンド商社に買付けに来るバイヤーの中で、日本人バイヤーが最も品質にうるさく、売りのディーラーの中には嫌がる者もいました。
そこで、カット品質にこだわってサイズの小さい最高品質のカットダイヤモンドを日本人バイヤーに提供したところ、飛ぶよにうれたのです。
これが、婚約指輪に使うトリプルエクセレントカットのダイヤモンドの始まりでした。
したがって、この最高品質のトリプルエクセレント・カットのダイヤモンドは日本で最初に売り出され、世界に広がっていったのです。
いかがでしたでしょうか。
この、ダイヤモンドは大きさを取るか、良いカットを取るかは、それぞれの好みによって意見が分かれるところです。
あなたはどんなダイヤモンドを、大切な方な贈りますか?
まとめ
熟練職人は、ダイヤモンドを以下の考え方や
方法で、最高品質の光り輝くカットに仕上げ
ていきます。
1. 熟練職人がダイヤモンドを最高品質にカットすると小さくなる
2. ダイヤモンドのカッター職人は、最も利益の取れるカット品質に仕上げるので、必ずしも最高品質にカットするわけではない。
3.ダイヤモンドは大きさに勝る品質評価はないので、大きなダイヤには上質なカットのものは少ない
いかがでしたでしょうか。
ダイヤモンドのカッター職人がどのような方
法で、上質なカットに仕上げているかを知る
ことによって、その大きさとカット品質、そ
して価格を比較しながら購入する一助になれ
ば幸いです。
参考にしてみて下さい。
筆者
ヨーアンドマーレ代表
GIA・GG 米国宝石学協会 鑑定士 島田 洋輔
千葉・柏で結婚指輪をオーダーメイド
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