婚約指輪と結婚指輪の違いは何ですか?
多くの方がこの質問をされます。
特に男性には混同されている方が多いのです。
婚約指輪、エンゲージリング、結婚指輪、マリッジリング、セットリング、という言葉は、婚約、結婚の際に着ける指輪として聞いたことがあることでしょう。
これから結婚を考えている男性にとって、婚約指輪と結婚指輪のそれぞれが何の為にあり、そしていつ必要なのか、その他にも、今さら聞けない事が結構ありますよね。
このプログは、宝石の権威、米国宝石学協会・GIAの宝石鑑定士であり、また17年以上にわたり、5000組を超えるカップルに結婚指輪を届けてきた、オーダーメイドのエキスパートであるクラフトデザイナーが執筆しています。
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GIA・米国宝石学協会 宝石鑑定ディプロマ
ここでは、男性が知りたいと思う、婚約指輪と結婚指輪の違いや、今更聞けないそれらの基本的な意味を、丁寧に解説しています。
これから結婚を控えていて、指輪の購入を考えているのであれば、このブログを読めば、指輪に関する多くの疑問が、解決することでしょう。
是非、参考にしてみて下さい。
1.婚約指輪.エンゲージリングとは何ですか?
婚約指輪とエンゲージリングは同じです。
婚約指輪またはエンゲージリングは、男性から女性に対してプロポーズする際に送ります。
女性はそれを受け取り、薬指にする事によって、そのプロポーズを受け入れた意思を男性に示します。
男性にとって婚約指輪は、贈った女性と近い将来結婚する事を、その女性と女性の親族に対し誓約する事を意味するリングです。
また女性にとって婚約指輪とは、親族や周りの方々に近い将来結婚が決まった事を報告する為の指輪になります。
婚約指輪は左手の薬指につけます。
婚約指輪の詳細と品質はさまざまですが、一般的にはリングの中心にダイヤモンドまたは宝石が留めてある、高価なものです。
■ 婚約指輪の歴史
婚約指輪は古代エジプトから実践されており、婚約指輪は男性から女性へ結婚の意思を示すものとして使われていました。
またその後ローマ時代にも同じ習慣を持っていたと記録されていますが、ローマ人は2つの婚約指輪を贈ったとされています。
1つは家で鉄のリング着用し、もう1つは公共の場で着用するものでした。これが現在の結婚指輪と婚約指輪になって来たと考えられています。
ヨーロッパでは婚約指輪を贈る伝統は1477年に生まれました。
オーストリアのマクシミリアン大公は、ブルゴーニュのメアリーにイニシャルの形をしたダイヤモンドをセットした婚約指輪を贈りました。
ダイヤモンドの婚約指輪が西洋文化の定番となったのは、20世紀初頭のことです。
1930年代から、ロンドンに拠点を置くデ・ビアス社によって、ダイヤモンドの鉱山採掘から原石の卸販売までが一括管理される様になると、ダイヤモンドの婚約指輪が世界的に普及し始め、今日でも西洋文化の重要な習慣となっています。
■ 婚約指輪の購入率は35%!
婚約指輪は高価なものであり、それを婚約者に贈る意味は2つあります。
• 一つは。男性がその女性に対して、近い将来必ず婚姻する事を誓約する
• もう一つは、男性は婚姻に際して経済的に問題がない事を示す
これらは、婚姻する女性に対してより、女性の両親や親族に示す意味合いがあり、いわゆる『 相手の家 』への贈り物、それが婚約指輪になるのです。
これら婚約指輪の意味を理解していない男性としては、そんな事は関係ないと思うかもしれません。
ただ、婚約指輪を贈られた女性は、それを必ず両親、親族、友人に見せるので、それが周りへの報告となります。
報告を受けた人は、その婚約指輪を見てあなたを想像をし、言葉は悪いですが、まだ見ぬあなたを『 値踏み 』する形になります。
それが婚約指輪を贈るという事だということを、認識しておくべきでしょう。
ただ、そういった婚約指輪に対して、高額を支払うにことに躊躇するカップルが年々増えると共に、ほぼ100%の取得率だったものが、2015年頃には50%を切るようになります。
加えて、2020年よりのコロナ禍で、結婚式の激減と共に、婚約指輪の取得率も更に下がり、現在では、結婚するカップルの35%位と言われています。
2.結婚指輪.マリッジリングとは何ですか?
結婚指輪とマリッジリングは同じものです。
結婚指輪は男性、女性がペアで着用し、婚約指輪とは異なり、婚姻と共に着け始め、結婚式を催した際には、ふたりで交換します。
英語圏では「バンド」という言い方をしますが、それは結婚指輪が伝統的に単純な金属バンドであるという事実を指しているだけです。
男性が購入し、女性にサプライズを与えることができる婚約指輪とは異なり、結婚指輪は、通常ふたりで選びます。
女性は、婚姻届けまたは結婚式まで婚約指輪を左手の薬指に着用し、そして正式な婚姻の後に結婚指輪を着け始めます。
結婚式の当日には、右手に婚約指輪着用し、
誓いの交換後、新郎新婦は結婚指輪を交換し、お互いの左手薬指に着けます。
結婚式の後、花嫁は婚約指輪と結婚指輪を左手にセットとして着ることが多いのではないでしょうか。
■ 結婚指輪の歴史
古代から、結婚指輪は永遠の愛の象徴として交換されてきました。
ルネサンス時代には、結婚指輪を感傷的にデザインしたものが出始め、短い詩が刻まれたポシーリングを交換したりしました。
この慣行は、結婚を富と財産の交換のための契約上の義務であるという考えから、愛情を相手に示すものと言う考え方に変わっていったことを示しています。
■ 結婚指輪の購入率はほぼ100%
結婚指輪には、婚約指輪のような儀式的、儀礼的な要素はなく、ふたりが一緒に人生を歩んで行く証という、結婚本来の意味に根ざしたペアリングなので、その取得率は今も変わらず、ほぼ100%と言われています。
また、昨今のオーダーメイドのブームによって、ふたりのアイデアから個性的なものも多く、婚約指輪に比べてその需要は多様化しています。
また、結婚式や婚約指輪がなくなっている一方で、それらの資金が結婚指輪に流れてくる傾向にあり、その購入額も徐々に上がって来ています。
3.婚約指輪と結婚指輪の価格相場と購入時期
婚約指輪は、元来高価なものを贈る慣例から来ている為、実用性よりも非日常的で豪華なデザインのものが支持されます。
そのため結婚指輪よりも大きなダイヤモンドまたは宝石を留めることが一般的で、相場として20万円〜35万円を考えておくのが一般的です。
通常、デザインが精巧になり、石のカラット重量が大きくなるほど、その指輪の価格は高くなります。
またその購入時期として、元来は相手に婚姻の意思を確認する時になりますが、近年は、すでに藉を入れて、結婚生活をすでにスタートしているカップルや、結婚前に既に共同生活( 同棲生活)を始めているカップルなど、結婚を儀式的に考える傾向は薄くなっています。
したがって、男性が贈りたいと考えた時でいいのではないでしょうか。
それが、婚約指輪の取得率を上げる結果にもつながると考えます。
一方結婚指輪は、日常のつけやすさと耐久性がより重要にたる為、華美なデザインや宝石の数は抑える傾向にあります。
価格相場も2本で20円〜25万円が
一般的と言えます。
そして、その購入時期もまた婚約指輪と同様に、婚姻届の時期とは関係なく購入するカップルも多く、必ずしも決まった時期はないと考えます。
ふたりで話し合った結果、必要と考える時に購入する形で良いのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。
結婚指輪、婚約指輪、マリッジリング、エンゲージリング、といったブライダル用語とも言える言葉は、結婚時期を過ぎればそれほど重要ではなくなります。
ただそこにかかる資金は小さいものではないので、知識をつける事によって良い商品を抑えた価格で手に入れることができます。
特に男性にとって少しでも経済的に得する買い物が出来る一助になれば幸いです。
筆者
ヨーアンドマーレ代表
GIA・GG 米国宝石学協会 鑑定士 島田 洋輔